一般的に、テント内で燃焼式の暖房器具の使用は厳禁とされている。換気や排気ができずに一酸化炭素中毒の危険があったり、火災の恐れがあったりするからだ。だが、バランゲルドームは、薪ストーブの使用を想定して作られており、テントの天辺には煙突を出すために開閉できる穴がある。さらに素材は難燃性ポリエステルで、火の粉が多少飛んでも穴が開きにくい。

 煙突を組み立てて、設置完了。テント内には用心のため、一酸化炭素アラームを設置した。小さな置き時計のようで、1千~2千円程度で手に入る。

 テントを張った後は、さっそく外で焚き火を始める。火を囲む楽しみは、やはり夏よりも冬のほうが格別だ。乾燥しているので、火はつきやすいが、燃え広がるのも速いので、火の扱いには十分注意したい。

「薪は、クヌギなどの広葉樹だと火の持ちがいい。杉などの針葉樹は火をおこす時の焚きつけにはいいけれど、すぐに燃え尽きてしまいます。途中で薪がなくなって寒さで凍えないように気をつけて」(岡部さん)

 火が安定したら、やかんに水を入れて火にかける。

「寒い季節のキャンプで必須なのがお湯。とにかく常にお湯を絶やさないように、沸かし続けましょう」

 と、見城さん。お湯があればお茶も飲めるし、使った食器はさっとお湯をかけて流せば汚れが落ちるし、眠るときに寝袋の中に入れる湯たんぽにもなる。

 焚き火を一通り楽しんだあとは、テント内のレイアウト。

 今回のテントはフロアレスタイプで、地面は芝生だ。

「靴をいちいち脱ぎ履きする必要がないし、土間感覚で使えて便利です。子どもが何かこぼしたりしても気にならないですよ」(岡部さん)

 テント内が乾燥しているときにはお湯をまけば湿度が保たれ、土ぼこりもおさまる。

 テントの中には、コットと呼ばれる簡易ベッドを入れる。担架に脚がついたようなもので、この上にマットを敷き、寝袋で寝る。冬は地面から冷気が伝わるので、コットのほうが暖かく、寝心地も抜群だ。

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