資産にもならないようなものを一過性の需要で建ててしまい、そこの与信は地銀が取っている。当然、返済は中長期にわたります。オーナーも地銀も「賃料はレオパレスが保証するから」という話に乗っかったものの、その契約自体に疑義がある。しかもその会社自体がもうヤバイという話になったら、全てのキャッシュフローの根源が尽きる。

 何もせず土地だけ貸して儲かるなんてことが、地方都市とかで可能になると思うほうもアホです。うまい話には必ずウラがあり、その責任を個人が負って、自己破産して終わり、でいいわけです。自分でしっかり計算して賃貸経営しないといけませんよ、という当たり前の話ですね。

そういうインセンティブで大量のペラペラ賃貸物件が供給され、現在と将来の空き家になり、地銀の与信問題にまで延焼し、下手をするとそれらの救済にワタクシたちの税金が「地方再生」の名の下に、さらに流し込まれる、という構図はいくらなんでもまずいでしょう。

 このまま行けば地方の負の連鎖がさらに拡大していきますね。そして結果的にメディアが騒いで妙な「社会問題」を作り出して、そのマイナスを国が全部引き受けてしまって(=国民がすべて税負担させられて)、結局投資家と金融機関が得をする──なんて変なことにならんよう、祈るばかりです。これじゃ、第2の国鉄です。

 ここがまさに行政の出番です。全体の総量規制などをかけつつ、無駄な開発は「社会にとって負荷となり、国や自治体も損をする」ということを意識してほしいもんであります。

AERA 2019年2月25日号

著者プロフィールを見る
ぐっちー

ぐっちー

ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

ぐっちーの記事一覧はこちら