稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。著書に『寂しい生活』『魂の退社』(いずれも東洋経済新報社)など。『もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓』(マガジンハウス)も刊行
稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。著書に『寂しい生活』『魂の退社』(いずれも東洋経済新報社)など。『もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓』(マガジンハウス)も刊行
白菜を塩で揉んだところ。塩の量は量ったりせずともつまみ食いしながら好みの辛さにすれば大丈夫(写真:本人提供)
白菜を塩で揉んだところ。塩の量は量ったりせずともつまみ食いしながら好みの辛さにすれば大丈夫(写真:本人提供)

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【写真】白菜を塩で揉んだところ

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 先週の流れで、白菜漬けについて書こうと思います。

 白菜漬けって自分で作れるんです。ということを、長い間ずっと知らなかった。っていうか理論的には作れるのであろうとは思っていたが、専門的で難しく大変なことに違いないと決めつけていた。

 いやーなんもなんも。こんな簡単なことったらなかったのだよ。私のやり方は、白菜をザクザク切って塩で揉み重しを乗せ数日間。以上。数日経つと水が出て白い膜が張ってくる。現代人はこういうのを見ると「カビだ!」とビビるのですが、なんとこれは美味しく完成した合図。発酵して酸っぱくなったシルシ。食べてみりゃわかる。万一悪いカビだったら絶対わかるから吐き出せばよろしい。

 で、これさえあればご飯何杯でも! ああザクザク酸っぱい白菜漬け。そのまま食べるだけじゃなくて卵でとじても肉と炒めてもいいし、鍋の具にするとサンラータンのよう。しかしやはりそのままご飯とかっこむのがわたしゃ一番好きだね。

 だがしかし。誰もやらない。簡単美味しいと言いまくってもフーンと聞いてはくれるがそこまで。仕込みは10分程度なのに。ほったらかしとけば何日分ものおかずが完成するのに。最近人気の発酵食品なのに。やりまへんな実際。

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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