企業からの依頼に関しても、研究開発に対するハードルを自ら下げ、企業が抱える問題に対する解決策を提示する。「北九州に数多くある旧態産業のまま課題を抱えて模索する企業は、新技術があることを知らなかったり、費用面で諦めたりしていただけで導入自体には前向きだ。そういった地元の企業と積極的に関わり贔屓にしてもらえれば、我が社の展開にも軸ができると考えている」と滝本は言う。企業にとってもチャレンジ要素の強い開発を気軽に相談、依頼できる先があるのは心強い。

 この気軽にロボット開発を相談できる、という同社の仕組みは北九州市のビジネスアイデアコンテスト「北九州でIoT」にも活用されていて、コンテスト入賞者は同社による試作支援を受けることができる。北九州市と提携し、スタートアップのフォローを技術面から支援することで、地域産業への積極的な参加にもつながっている。

 高専発のベンチャー企業として、全国の高専から問い合わせや講演依頼を受ける日々だという。高専発の起業のビジネスモデルとして全国の高専に展開し、高専発ベンチャー企業を増やすことが目標のひとつだ。(文中敬称略)(ライター・渕上文恵)

※AERA 2018年12月3日号より抜粋