ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
(c)朝日新聞社
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 日本でもそうですが、株価は景気や経済成長のバロメーターだ、というエコノミストや「専門家」がいますね。ワタクシのような本当の専門家……外野でモノを言っているのではなく、自らの資産をリスクにさらして事業をやったり、出資したりしている者から見ると、責任のない立場で会社の代弁をしていればいいこの人たちはお気楽で、ある意味滑稽だと思っています。

 基本的にこういう職種の人たちは自らリスクを取った経験がないので、何でも言えるのです。テキストの知識が豊富でも実際ゴルフを一度もやったことはない人がゴルフの試合を解説しているのと同様で、話になりません。

 株価は、景気、あるいは経済状況の先行指標としては不適切です。ワタクシはあらゆるマクロデータを月に300以上チェックしているので、リーマン・ショックも適切に予言できました。当時連日高値を更新していた株価は決して経済の状況を表したものではなかった、ということは歴然たる証拠です。

 考えてもみてください。日本で言うと、株価はわずか4千社程度の上場企業に限ったデータです。なんで日本企業全体の数%が経済全体を表すと考えるのでしょうか。いやいや、そこで高給を取っている人がお金を使うことで経済が動くのだ、と言う人もいますが、従業員数でみてもおよそ300万人程度なので、労働者全体の5%もいればいい方です。その5%の人が経済を動かす、とでも言いたいのでしょうか。

 さらに株価というのは企業業績の集大成ですから、個別企業の極めてミクロな事情に左右されます。最近ではテスラの株価が暴落しましたが、別に米国の景気全体が下がったわけではなく、テスラの「個人的事情」が原因ですよね。事実、あのリーマン・ショックの時でさえ値段が上がっていた株はあるわけです。

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ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

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