その意味で株というのは、その企業の成績(業績)に左右されるだけで、「国の経済はどうなっているのか」というマクロ経済データとは比較にならないほどいい加減なものなのです。要は需給の問題で、買う人が多ければ上がるだけ、です。ケインズも株価の決定は「美人投票と同じことだ」と喝破しているわけで、なぜ株価(特に日経平均などのインデックス)と景気を結び付けるのか意味不明です。

 マクロ経済データ分析には一定の学力、知識、経験が不可欠です。株価はそれがなくても誰でもコメントできるので、恐らくそういう話になるのでしょう。ですが、そんなものを見ていると経済の先行きを間違いなく見誤ります。日本のGDPの60%は個人消費支出で、個人投資家と言われる人はわずか15%程度です。このひと握りの人たちが日本経済の先行きを決める、と本気で思ってるんでしょうか。

AERA 2018年11月26日号

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ぐっちー

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ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

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