──7歳で劇団ひまわりに入団されていますが、表現する世界に入ったきっかけは?

宮野:それが覚えてないんですよ。気づいたときにはひまわりにいて、絶対この世界でやるもんだ、と思い込んで育ちました。刷り込みです。でもまぁ、テレビも大好きだったし、人前もどうやら大好きで(笑)。だから根本には目立ちたがり屋の特性があったのは間違いないんですけど。ただ、7歳からやっているので、うまくいかない時間も長くて。自分に劣等感を持ったり、ヘンなレッテルを貼っていた時期もあって、なかなか自信が持てませんでした。

──ここまできたら安泰と思えたのはいつ頃ですか?

宮野:安泰とは思ったことないです。でも、今はようやくちゃんと自信が持てるようになりました。35歳にもなると経験してきたものが僕の心を助けてくれる。活動の幅が広がっているのは事実だし、こんなにたくさんの人が応援してくれている。今日は蜷川さん、すごい褒めてくれたし、とか(笑)。そういう思いが自信として乗っかってきて、パフォーマンスも変わってきた気はします。

●一番シビアに見ている

──山に例えると、今いる場所はどれくらいの高さでしょう。

宮野:多分何個か山は登りました。でも「頂上だぜ!」と思ったら、公園の丘だったみたいな(笑)。ちゃんと達成感はあるんですけど、気づくと目の前にはもっと大きな山がある。それがずっと続いている感じですね。

──最後に、これからの展望を教えてください。

宮野:宮野真守という商品を一番シビアに見ているのが自分だと思う。だからくじけそうになることもありますけど、可能性は閉ざしたくないんです。声優だから、俳優だから、歌手だからは関係なく、宮野真守としてできる可能性をどんどん見つけたい。いつもそう思っています。

(構成/ライター・大道絵里子)

※AERA 2018年11月5日号