──今回の作品に込めた思いを教えてください。

宮野:この映画は「大切な思い出」が大きなテーマ。見ると、きっと身の回りの家族、仲間、いろんなものを改めて大切にしようという優しい気持ちになっていただけると思うので、お子さんだけじゃなく、大人の方にも見ていただきたいですね。

──ちなみに宮野さんが声優として、ミデンに最も奪われたくない必殺技は何ですか?

宮野:なんでしょう。それこそ、ミデンの役作りじゃないですが、若い頃はキャラクターの外見的な個性に寄せて演じていましたが、いろいろ経験を経た今は、内面を考える方が正解に近づけることが分かった。役の個性そのものではなく、個性に至る本質、根本を掘り下げるというか。これは声優としてのすごい成長だと思っているので、その考え方はなくしたくないですね。

──そうやってキャラクターを掘り下げると声も変わる?

宮野:変わります。なにより、出てくる声に自信が持てる。自分が発していることが正解だと思えるというか。お芝居の難しさは正解がないところです。正解のないものの正解を見つけるにはどうすればいいんだろうと考え続けて、僕が行きついたのがこの方法なんです。

●「生きる」ことを大事に

──その方法論に行きついたきっかけは何だったんですか。

宮野:作品との出合いですね。ちょうど悩んでる時期にアニメ「DEATH NOTE」(日本テレビ系、06年10月~07年6月)に出合った。夜神月という役が壮絶な人生であってくれたおかげで、生と死をすごく考えて。そのうち、初めてキャラクターとシンクロしすぎちゃう感覚を味わったんです。最終回は壮絶な死を迎えるんですが、収録現場に行くのがすごく怖かった。ああ、僕ホントに一緒に死んでしまうなって思ったくらい。でもそのおかげでものすごく大事なことに気づきました。

──深いところで成長があった作品だったんですね。

宮野:本当に。おかげで役を「演じる」よりも「生きる」ことを大事にするようになりました。

次のページ