私、「自分らしさ」って、他人が決めることだと思ってるんです。私も、舞台を中心にやっていたときに、よく先輩から「もっと羊ちゃんらしく演じればいいんだよ」と言われました。そのたびに「私らしさって何だろう?」と悩んで……。

──そんな過去があったとは。

 でも、そうやって自分らしさと闘いながら女優を続けてきたら、あるときから急に「あの芝居、羊ちゃんらしかったよ!」って言われるようになったんです。結局、自分らしさって、自分で作ろうと思っても、できるものではないんですね。自分がやりたいことを一生懸命にやり続けた結果、自然と形作られるものなのかなって思います。

──あまり構えすぎず、とりあえず好きなことを続けてみることが大切?

 そうそう。それに自分らしさなんて、年月や出会ったものによって、どんどん変わっていくものでしょう。私も多分、4、5年前のインタビューとは違うことを言っていると思う(笑)。でも、そのほうが自然。変わることを楽しんだほうがいいんじゃないでしょうか。

──コラムでは「20代、30代のときは、どんな番組でも爪痕を残してやろうと思っていた」と書かれていましたが、それも今は変わりましたか?

 周りを楽しませたいという気持ちは、今も変わりません。でもそのために、必要以上に自己主張したり、逆に自分を卑下したりする必要はないと思うようにはなりましたね。

──それは自信がついたからでしょうか。

 というよりも、周りを信頼するようになった。テレビ番組って、司会の方がいて、芸人さんがいて、ゲストがいてと、役割分担があってチームプレイで成立しているんです。だから、私の発言を面白く料理するのはプロの皆さんにお任せして、私は放送禁止用語だけ言わないように気をつけようと(笑)。何でも自分一人でやろうとするのは大変。適材適所で、自分にできないことがあってもいいんだなと思うようになりましたね。

──最後に「今こそ」やってみたいことは、ありますか?

 それは……ずばり、ダンスです。私、体が硬くて踊れないんですよ。でも憧れはあって、今までバレエやジャズダンスを習いに行ったこともあります。だから、万が一そういう依頼がきたときに、自信をもって「踊れます!」と言えるようになりたい。そしてできれば皆さんから「ボディーラインがきれい」と言われたいです……(笑)。

(構成/ライター・澤田憲)

AERA 2018年10月8日号