■書店員さんオススメの一冊

『立憲的改憲』は衆議院議員・山尾志桜里氏による新刊だ。リブロの野上由人さんは、同著の魅力を次のように寄せる。

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 憲法改正に賛成か反対か。この問いに答えるのは難しい。誰にでも「良い改憲」と「悪い改憲」があるだろう。

 本書は、安倍晋三首相が唱道する改憲を阻止したいと考える政治家が、有効な対抗方法を探る対話の記録である。

 まず、単に反対するだけでは数で負けるという危機感がある。ならば「良い改憲」を掲げて「悪い改憲」に対抗しよう──この考え方を「立憲的改憲」と名付けた。

 対話相手の憲法学者・駒村圭吾氏は言う。「良い」も「悪い」もなぜ「改憲」なのか。何らかの政策実現を日本国憲法が阻んでいる事実はあるか。それは国会の立法活動を通じて実現できないのか。「憲法」を持ち出すことで逆に実現を遅らせていないか。

 この指摘を最終章に置いて、闘争手段から改憲の目的に視線を戻す。政治家の宣伝に終わらせない編集の妙を見た。

AERA 2018年10月8日号