「あのお金がなかったら…」被災者が語る「現金」の重要性 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「あのお金がなかったら…」被災者が語る「現金」の重要性

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川口穣AERA
イラスト:kucci

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 台風や地震、大水害……今夏は、例年になく多くの自然災害が日本を襲った。被災した後の生活を支えるために大切なのは、実は「現金」。さらに長い目で見ると、「資産」をいかにして守るかも重要になってくる。

*  *  *
 災害を経験した人からも、現金の重要性を説く声が上がる。

「あのお金がなかったら、どうなっていたか……」

 そう振り返るのは宮城県石巻(いしのまき)市の主婦・阿部直美さん(46)。阿部さんは11年3月11日の東日本大震災で被害を受けた。数軒隣の友人宅で、子どもの迎えや避難について相談しているときに津波が到来したため、貴重品などは一切持ち出せなかったという。自宅は全壊。かろうじて流失は免れたが、通帳や印鑑などはすべて泥水に浸かった。そんななかで、「銀行に預金するから」と子どもたちから預かっていたお年玉の存在を思い出した。その額、およそ10万円。

「引き出しの中で泥まみれになっていたお札を必死に洗って、避難先の窓にペタペタ貼って乾かしました」

 避難先近くで預金を下ろせるようになった4月下旬まで、そのお金でしのいだ。

 食事は避難先で食べられたが、生活必需品や避難生活に必要な小物、お菓子などを購入するのに欠かせなかったという。

 先日の胆振東部地震を経験した旭川市の男性(31)は、普段は電子マネーでの決済が多く、現金は財布にわずかしか入っていなかった。

「停電中もいくつかのお店が営業していました。でも、支払いは現金のみ。ATMも動いていませんでした。1日半ほどで電気が復旧したので助かりましたが、長期で停電していたらと考えると……」

 家の問題も切実だ。

 石巻市の市職員・青山英幸さん(48)は今年6月、7年間暮らした仮設住宅を出て賃貸住宅へ移った。仮設住宅の供与期限が7月8日に迫るなかでの苦渋の決断で、新居を「終のすみか」とは考えていないという。


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