前澤社長のバンド仲間数人から始まった同社も社員が数百人規模になるにつれ、関係性が希薄になることが悩みの種だった。そこをカバーし、同社が目指す「親友のような関係」づくりのためにさまざまなイベントを企画してきた。年末のキャンプで合唱をするために仕事中でも練習をしたり、「好きなこと」をテーマにスタッフの人柄がわかるビデオを制作したり。

「単なる飲み会じゃなくて、面白いことを本気でやって盛り上がると一体感が生まれる。難しい仕事を頼まれても、あの人が言うならと二つ返事でチャレンジする。そんな関係性があることが、会社の成長につながっています」(人自本部FM部の梅澤孝之さん<35>)

 こうしたイベントは、仲間意識を高める以上の効果も生んでいる。倉庫で商品の撮影を担当していた山口剛岳(よしたか)さん(29)は昨年、フレンドシップデーというイベントで、キャリアチェンジのチャンスをつかんだ。管理系の仕事をしてみたいという気持ちはあったが「どこかで躊躇(ちゅうちょ)していた」という山口さんは、イベントで偶然、管理部門の一つである「内部監査室」の管理職と一緒になった。そこでの会話をきっかけに気持ちがいっそう高まり、社内公募で異動に成功。

「業務の特性上、多くの社員と接するのでコミュニケーション能力が格段に上がりました。これからは組織を横軸に見る力をつけていきたい」

 山口さんはそう意気込む。

 12年、8時間労働という常識に挑もうと始まった同社の6時間労働制「ろくじろう」は大きな話題となったが、いまは会社全体で見直しの最中だ。

「1月にプライベートブランド(PB)を立ち上げたばかりで今は踏ん張り時。PBに携わるもの全員が強い誇りを感じている。休む時は休み、やる時は時間を忘れて没頭できることも、幸福度向上につながると思うんです」(梅澤さん)

 仲間とのつながりを重視するのはgCストーリーも同じ。屋外広告の施工事業や介護事業を手がけるベンチャー企業で、「働きがいのある会社」(25~99人の部)で4年連続ベストカンパニーにランクインしている。

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