仏で渦巻く移民排斥感情 音楽で「差別」を超えていく (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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仏で渦巻く移民排斥感情 音楽で「差別」を超えていく

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斉藤真紀子AERA
「移民は2倍の努力が必要」と話すラシド・ハミ監督。作品の内容にかかわらず「アルジェリア系」と言われることに違和感を持つ(撮影/山本友来)

「移民は2倍の努力が必要」と話すラシド・ハミ監督。作品の内容にかかわらず「アルジェリア系」と言われることに違和感を持つ(撮影/山本友来)

映画「オーケストラ・クラス」の一場面。出演の子どもたちは実際に移民の集まる地域に住み、この映画で楽器に初めて触れた。1年にわたる特訓で、バイオリンの演奏をものにした。作品は全国で公開中 (c)2017 / MIZAR FILMS / UGC IMAGES / FRANCE 2 CINEMA / LA CITE DE LA MUSIQUE - PHILHARMONIE DE PARIS

映画「オーケストラ・クラス」の一場面。出演の子どもたちは実際に移民の集まる地域に住み、この映画で楽器に初めて触れた。1年にわたる特訓で、バイオリンの演奏をものにした。作品は全国で公開中 (c)2017 / MIZAR FILMS / UGC IMAGES / FRANCE 2 CINEMA / LA CITE DE LA MUSIQUE - PHILHARMONIE DE PARIS

「サッカー選手のエムバペも、両親の出身国であるアルジェリア人、カメルーン人と言われていたのに、ワールドカップ優勝後は突如フランス人としてもてはやされた。世界で活躍するか、命をかえりみずに行動するか、それでなければ移民はフランス人になれないのか。それは社会が病んでいると思う」

 ハミさんはこうも指摘する。フランスは天然資源の豊富なアフリカで、盛んにビジネスをして富を得ている。その一方で、アフリカの移民を排斥するのは矛盾しているのではないかと。

 そんな中、「フランス政府の文化支援に感謝している」(ハミさん)。映画でも暗い表情だった子どもが音楽に触れ、希望で目を輝かせる。一方、初めは心を閉ざしたバイオリンの先生も音楽を通じ、成長する子どもや、移民の親たちの家族愛を知り、孤独な人生に光が差す。音楽の力で人種の「壁」を越えたのだ。

「音楽によって人間的成長を図ることも、暗い現実に光を当てることも可能なのです」
 エンドロールにも思いを込めた。1969年にアメリカの音楽の祭典ウッドストック・フェスティバルのオープニングで歌われたリッチー・ヘブンスの「フリーダム」。人種差別からの「自由」を伝える歌だった。(ライター・斉藤真紀子)

AERA 2018年9月10日号


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