沖縄県政に詳しい政治アナリストの比嘉良彦氏は、翁長氏死去の報を受ける直前の段階で、知事選をこう展望した。

「2月の名護市長選で辺野古新基地建設反対の現職が敗れたことで、11月の知事選の趨勢は翁長知事が出ても厳しい状況です。(辺野古新基地建設に反対する)『オール沖縄』の象徴的存在である翁長知事が不在となれば、新基地建設に反対の世論を束ねるのはますます厳しくなります」

 ただ、翁長知事の死去で局面は変わる可能性もある。新基地建設反対を最期まで貫いた翁長知事の「弔い」の感情が県民の間に広がることも予想される。「オール沖縄」は結束に向かうのか、内部分裂するのか見通せない状況になった。
翁長知事の後継には、謝花副知事のほか、沖縄国際大学の前泊博盛教授らの名前が挙がっている。沖縄知事選の結果が、今後の辺野古新基地建設の行方を左右するのは間違いない。

(AERA編集部・渡辺豪)

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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