更に言えば、女性性をネタにすること、あるいは、性別で「人」を判断することすら憚(はばか)られる世間を鑑みれば、かつて散々それらをされてきた女性は、逆に、2周先ぐらいを独走している。

「性別女」と「ビジネス女」とを使い分け、その揺れの中で戦ってきた歴史は伊達じゃない。SNSの発信を見れば力の差は歴然、おじさんたちの露骨な周回遅れぶりが目立つ。全方位に納得のいく外交をすることに慣れていないくせに、不用意なナルシシズムを良かれと思って発信、結果、物の見事にそのノーガードの無意識ぶりを人にど突かれるのだ。これなどは銭湯に行くような軽装で雪山に入る暴挙である。

 フルーツパーラーでおじさんがパフェを頬張っている姿が「いいね」数を大層稼ぐそうだ。これをおじさんが「おじさんぶってて、あざとい!」と批評する時代がきているのである。嫌でもなんでもそういう時代なのだから仕方ない。

 と、そんなことを“ビジネスおじさん”であるマキタスポーツは考えている。

AERA 2018年7月30日号

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マキタスポーツ

マキタスポーツ

マキタスポーツ/1970年、山梨県生まれ。俳優、著述家、ミュージシャンなど多彩な顔を持つ。子供4人。スポーツ用品店だった実家の屋号を芸名に。著書に『すべてのJ-POPはパクリである。』ほか。映画「苦役列車」でブルーリボン賞新人賞受賞。近刊に『越境芸人』(東京ニュース通信社)。『決定版 一億総ツッコミ時代』(講談社文庫)発売中。

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