原発に代わる巨大エネルギー源、「黒潮発電」が実用化へ (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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原発に代わる巨大エネルギー源、「黒潮発電」が実用化へ

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田岡俊次AERA
黒潮は日本列島の東岸を流れている(AERA 2018年7月30日号より)

黒潮は日本列島の東岸を流れている(AERA 2018年7月30日号より)

黒潮を使った発電に成功した「かいりゅう」。後方にある直径11メートルの回転翼で発電する。実用段階では直径40メートルになる(写真:IHI提供)

黒潮を使った発電に成功した「かいりゅう」。後方にある直径11メートルの回転翼で発電する。実用段階では直径40メートルになる(写真:IHI提供)

 原発は放射性廃棄物の処理が困難という本質的な問題を抱える。火力発電は電力需要の変動に合わせ発電量を調節できる長所があるが、その燃料輸入には年間4兆円かかり、二酸化炭素の排出も問題だ。再生可能エネルギーでは太陽光や風力が普及しているが、発電は不安定だ。

 欧州では1日に約2回起こる潮の干満を利用する潮流発電も実用化しつつあるが、発電の時間は限られる。一方、黒潮は常に絶大な量の水が陸岸近くをおおむね一定の方向と速度で流れている。世界的にもメキシコ湾流が大西洋に出る米国フロリダ半島沖と日本東岸しかないほどの好適地で、日本にとっては天の恵み。黒潮発電が本格化すれば、英国にとっての北海油田と似た価値を持つかもしれない。

 資源エネルギー庁の山崎琢矢新エネルギー課長は「海流発電は安定した電力供給ができ、基盤的電源となり得る。新エネルギーとして最も有望。機材の価格をいかに下げるかが課題だ」と言う。NEDOは今年度から2020年度まで、次の段階の開発に22億円の助成金を拠出し、IHIは11億円を負担する予定だ。

 水深約50メートルに装置を設置すれば、潜水艦以外の船舶の航行に支障はない。設置水域によっては底引き網などの漁業を妨げる問題は出そうだが、IHIで黒潮発電開発を指揮する長屋茂樹さんは「将来は漁業協同組合に機材の点検、整備を依頼するなど協力をお願いすることも考えられる」とし、30年ごろの本格的実用化を目指している。(ジャーナリスト・田岡俊次)

AERA 2018年7月30日号


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