水を含んだ土砂は重く、山から運ばれた大量の木の枝や幹と一緒になって家の中に数十センチの層をつくっていた。土砂の中で枝や幹が複雑に絡み合い、スコップを入れても、ひっかかって簡単に持ち上がらない。補給した水分はあっという間に汗となって流れ出ていく。休憩時には激しく乱れた呼吸を整えるのがやっとだった。

 この日、実際に作業したのは計2時間程度。何度も休憩をはさんだため、稼働時間はさらに少ない。一つの家の1階の土砂を15人でなんとかかき出しただけで終わったボランティア活動だったが、体力の消耗が著しく、この程度が精いっぱいだった。重機がなかなか入れない現状に、ボランティアの手作業だけでは限界があると実感した。

「それでもボランティアの存在は重要」と、たすけあいセンターの増田勇希さん(38)。

「ボランティアは、被災者や地元住民に声をかけることができる。遠方からボランティアに来てくれたと知るだけで、被災者は少し勇気をもらえる。精神的、心理的ストレスが極めて大きい被災者たちの心のメンテナンスができるのがボランティアです」

 14府県で計200人以上の死者を出した西日本豪雨災害の被災地の復旧作業が長期化するのは間違いない。それだけに増田さんは強調したいことがある。

「重要なのは長期的な支援です。注目されている今はボランティアも来てくれるが、そのうち減っていく。継続的に長い目で被災地を気にかけてほしい。2カ月後、3カ月後でもいい。来られるときにボランティアに来ていただきたいと願います」

(編集部・山本大輔)

AERA 2018年7月30日号