JAXAの「宇宙学」が人気 “県立”でも全国から生徒が集う楠隼中高 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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JAXAの「宇宙学」が人気 “県立”でも全国から生徒が集う楠隼中高

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柿崎明子AERA#教育

【宇宙をテーマに学ぶ】鹿児島県立楠隼中・高/公立中高一貫校初の全寮制男子校。内之浦宇宙空間観測所の近くという地の利を生かし、宇宙学を設定。「ことば探究」で思考力を鍛える(撮影/ライター・柿崎明子)

【宇宙をテーマに学ぶ】鹿児島県立楠隼中・高/公立中高一貫校初の全寮制男子校。内之浦宇宙空間観測所の近くという地の利を生かし、宇宙学を設定。「ことば探究」で思考力を鍛える(撮影/ライター・柿崎明子)

都内公立中高一貫校の難関大合格者数(AERA 2018年7月16日号より)

都内公立中高一貫校の難関大合格者数(AERA 2018年7月16日号より)

 鹿児島県立楠隼(なんしゅん)中学・高校は、公立中高一貫校として初めての全寮制の男子校。同校がある肝付町には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の関連施設である内之浦宇宙空間観測所がある。JAXAと県教委が協定を結び、JAXA職員や大学教員らが来校して「宇宙学」の授業を行っている。

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 6月にあった中1の宇宙学は、鹿児島大学理学部物理科学科の半田利弘教授が「宇宙の広がりと地上との違い」をテーマに講演した。地球から太陽系、銀河系、超新星、暗黒物質と話が進むと生徒は「すげー!」「気が遠くなる」。講演後も「宇宙はどれくらいの速さで膨張しているのか」「星の重力で縮まっているのでは」などと質問した。

 中1からテーマを設定して高1で仕上げる論文では、過去に「エウロパの海底熱水噴出口」「スペースデブリの問題~処分とその費用~」「人工知能と今後の宇宙のかかわり」と専門的なテーマにもチャレンジしている。温田隆久教頭は言う。

「自ら課題を見つけ探究することで、将来生きる力に通じる思考力を育てていきたい」

 横浜市出身の藤吉碧さん(中1)は、ユーチューブで若田光一さんが行った宇宙実験を見て、宇宙飛行士になりたいと同校に進学。「誰も行ったことのない星をこの足で踏みしめたい」と、将来の夢を語る。

 温田教頭は宇宙学の狙いを、次のように言う。

「これから社会に出る生徒たちは、激変する時代を生きぬく力をつけなければならない。宇宙には解明されていない謎が多く、その力を養うには宇宙は格好の題材だ」

 また、独自の設定教科「ことば探究」を通して、表現力や思考力、コミュニケーション能力を育む。さらに地元の肝付町や鹿児島の自然や歴史、文化を体験する、特色ある教育活動にも取り組んでいる。

 校舎の隣に新設した寮は全個室。英数国の3教科の学習指導員を配置し、中学・高校生ともに毎晩勉強に励む。中1生と高1生は地元の農家などに1泊する民泊体験があり、それをきっかけに休日に生徒が農作業を手伝ったり、家族ぐるみのつきあいに発展したりするケースもあるという。同校生徒のうち鹿児島県出身は6割で、4割は県外の20都府県からだ。

 15年に開校し、今年、高校から入学した1期生32人が大学受験を迎え、東大2人をはじめ、国公立大に14人合格と高い実績をあげた。東大に合格した生徒は、宇宙学を専攻したいと話しているという。(ライター・柿崎明子)

AERA 7月16日号より抜粋


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