是枝監督、文科相の“祝意”断った理由は「欧州的な価値観を日本に定着させたい」? 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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是枝監督、文科相の“祝意”断った理由は「欧州的な価値観を日本に定着させたい」?

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石飛徳樹AERA

 カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した是枝裕和監督が、AERAの表紙に登場。受賞作「万引き家族」をめぐっては様々な意見が飛び交うが、そこに込めた思いをこう語る。

 カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを得た「万引き家族」。6月8日に本公開され、27日現在で223万人が見て、27億3千万円の興行収入を上げている。

「僕の映画を見てくれている人に向け、自分だけの宝物だと思ってもらえるような小さな映画を作りたかった。そういう映画をカンヌはあまり好みません。審査員との相性が良かったんだと思います」

 受賞後からSNS上で「文化庁の補助金をもらいながら日本の恥部を描く反日映画を作った」などと攻撃されているが、そのことをメディアが取り上げて世間の関心が高まるという好循環になっている。文部科学相の「祝意」を受けるのを、「公権力とは距離を保つ」と断ったこともまた、称賛と批判を呼んだ。

「炎上商法じゃないよ」と笑う。

「補助金をもらって政府を批判するのは真っ当な態度なんだ、という欧州的な価値観を日本に定着させたい」と望んでいる。これは海外の映画祭に数多く参加し、肌で学んできたことだ。

 1995年、劇映画デビュー作「幻の光」でベネチア国際映画祭に参加した。華やかな会場で「仏の核実験反対」という横断幕を掲げた人たちが舞台に上がるのを目の当たりにする。観客は立ち上がって拍手をした。

「映画祭ってそういう場所なんです。日本の監督には政治的発言を好まない人が多い。でも作品の社会的背景を問われて『それは……』と口ごもったら、馬鹿だと思われる。きちんと意見を言わなくてはいけないんです」

「万引き家族」は犯罪を容認するような作品ではない。大人の言うなりに万引きをしていた少年が、罪悪感に目覚めた時に取った行動の勇気と哀しみを描いている。見ていない人々の批判とは正反対の、深い余韻を残す。順法意識が強く、食わず嫌いの方々こそが映画館に駆けつけるべき作品である。(朝日新聞編集委員・石飛徳樹)

AERA 2018年7月9日号


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