「仕事って、発注する側が上、受ける側が下の立場、というものではないですよね。一緒に同じ課題の解決に当たっている、というマインドをフリーランス側も持つべき」(日比谷さん)

 そこで二人がおすすめするのが、「発注者の側になってみる体験」だ。

 例えば、クラウドソーシングで自分のSNS用のアイコンのイラストを依頼してみる。発注者になってみると、上と下という関係性では決してよいアウトプットにたどりつけないことが実感できる。対等な関係と自覚できれば、それだけのスキルを維持しようと考えるし、相応の報酬を主張する自信も生まれる。

「こういう納品の仕方、ギャラの交渉の仕方は気持ちいいな、といったことも見えてくるはず。僕自身、会社員時代に発注側だった経験があり、それがいま役立っていると感じています」(日比谷さん)

 報酬についてさらに日比谷さんは、「全部の仕事で稼ぐ必要はない」と割り切る。

「僕の場合、これからチャレンジしたい領域に関しては、他の仕事と分けて時間を確保しています。その領域ではフィーにはこだわりません」

 自分にとってインプットがあると判断したら、お金にならなくても経験を買う。そんな判断ができるのも、フリーならではだと言える。(編集部・高橋有紀)

AERA 7月2日号より抜粋