働き方改革関連法案の国会審議が大詰めを迎えるなか、そのお膝元である霞が関の長時間労働を問う声も出ている。
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不夜城と呼ばれる霞が関でも「強制労働省」と揶揄され、ひと際、長時間労働が根深い厚生労働省。2015年には国会に先んじて「休むことも仕事です。今度こそ本気です。」をキャッチコピーに省内の働き方改革に着手した。国会で17年に「1億総活躍社会」に向けた働き方改革の議論が始まると、その所管省庁として<仮に「医者の不養生」「紺屋の白袴」といったそしりを招くようであれば、日本の働き方改革を実現することなど不可能>(厚労省の資料)と意気込むが、現実は甘くない。
「関連法案の審議で通常業務が増えている上に、裁量労働制のデータ問題や日本年金機構の過少支給問題などの不祥事が続いた。野党合同ヒアリングの対応なども重なり、担当部局は忙殺されている」(厚労省関係者)
超過勤務(残業)が最大で月200時間を超えることもあるというが、どんな状況なのか。国会対応を担当する厚労省の若手職員のある一日はこうだ。
夜9時に質問通告を受け、答弁案の作成を始める。議員からの質問に対する答弁案の作成は、霞が関の官僚が担う。定時は3パターンあるが、大半は午後6時15 分。この時点ですでに約3時間の残業だ。作成した案の了承を関係各所にとり、最終的な案を大臣にファクスで送ったのは午前4時。その1時間後には大臣への直接説明を終えるが、まだ帰れない。午前6時半には廊下で朝刊の到着を待つ。関連記事を切り抜き、幹部用にコピーする。外は既に明るい。帰る時間も惜しく、机で2、3時間眠れば、上司に起こされる。
「外に食べに行く暇もなく、食事はだいたい地下のコンビニ。3分の間に上司に呼ばれるリスクが高く、カップラーメンは買わない。おにぎりとパンが最初に売り切れる」(若手職員)
労働組合の調査では17年、厚労省(厚生部門)の月平均の残業時間は53.8時間。過労死ラインとされる月80時間以上の残業をした人の割合は19%に上る。