元官僚で日本維新の会の丸山穂高衆院議員は、今国会で霞が関の残業問題を取り上げた。

「年間720時間の残業規制を設けようとするなか、霞が関では7.9%の人が該当している。民間に駄目だと言う前に『隗より始めよ』です。長時間労働の大きな原因が国会対応だが、例えば3日前までに理事会で決めた委員会しか受け付けないルールなどを決めれば、質問通告が前日の夜になるなんてことはない。政治家次第で霞が関の働き方は変えられる」(丸山議員)

 できることはまだまだある。慶応大学の岩本隆・特任教授はICTの活用による業務効率化で年間1417億円のコスト(超過勤務手当とタクシー代)が削減できる試算を発表した。

「テレワークを導入した企業は生産性が1.6倍向上するとされる一方、霞が関のテレワーカー比率(週1日以上終日在宅で作業する職員)は0.3%。テレワークの導入で残業がゼロになるだけじゃなく、1日約2時間半、新たな業務ができます」

 日本国家公務員労働組合連合会の鎌田一書記長は、国家公務員は労働基準法等が適用除外だが、今回の働き方改革関連法案の一つである労働安全衛生法の改正に期待を寄せる。

「事業者に労働時間の把握が義務づけられます。把握すれば残業と認めざるを得なくなり、残業手当を支払う義務が生じます。霞が関でも最低限、労働時間の把握を徹底すべきでしょう」

 鎌田さんによれば、霞が関の勤怠管理は印鑑による出勤簿と、自己申告の超勤管理簿しかない。「約200時間残業しても、残業代は70 時間程度」(先の若手職員)。厚労省の資料では月の平均残業時間は約29時間(15年)だが、労働組合が集計した53.8時間と大きな開きがある。

 改革を語る前に、まずはタイムカードを導入することから始めてはどうか。(編集部・澤田晃宏)

AERA 6月25日号