地球温暖化により北極の海氷が小さくなり海が開け、北極海へのアクセスが容易になってきた。船の渡航が可能になることで、資源探求や北極海を通りアジアや欧米をつなぐ北極海航路の利用など、中国や韓国など各国が北極開拓に動いている。
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日本政府も動き出している。昨年7月、欧州歴訪中だった安倍晋三首相は、フィンランドのニーニスト大統領と首都ヘルシンキで会談。北極海航路の本格利用や資源開発での協力を推進していくことで一致している。
日本政府は13年4月に閣議決定した「第二期海洋基本計画」で、北極海をめぐる取り組みを重点的に推進すべき課題と位置づけた。北極海沿岸国との外交を担う北極担当大使も置いているが、今後さらに同地域での関与を強めていく考えだ。
そもそも北極圏への日本の貢献の歴史は長い。1950年代から半世紀以上にわたり、北極の環境変化に関する観測・研究活動を継続し、そのデータを北極圏諸国と共有するなどしてきた。先に示した気象庁のデータなどは、まさにその蓄積の結果だ。科学技術分野において、日本は圧倒的な存在感を誇ってきただけに、これからも開発と裏表となる環境保全などの分野で力を発揮し、北極圏の政策立案においても存在感を示すチャンスは十分にある。