浜矩子「多党化した野党には、大いに巧みに共闘してほしい」 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

浜矩子「多党化した野党には、大いに巧みに共闘してほしい」

連載「eyes 浜矩子」

このエントリーをはてなブックマークに追加
浜矩子AERA#浜矩子
浜矩子(はま・のりこ)/1952年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。前職は三菱総合研究所主席研究員。1990年から98年まで同社初代英国駐在員事務所長としてロンドン勤務。現在は同志社大学大学院教授で、経済動向に関するコメンテイターとして内外メディアに執筆や出演

浜矩子(はま・のりこ)/1952年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。前職は三菱総合研究所主席研究員。1990年から98年まで同社初代英国駐在員事務所長としてロンドン勤務。現在は同志社大学大学院教授で、経済動向に関するコメンテイターとして内外メディアに執筆や出演

すべてが腐っているのだ、このニッポンでは(※写真はイメージ)

すべてが腐っているのだ、このニッポンでは(※写真はイメージ)

 経済学者で同志社大学大学院教授の浜矩子さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、経済学的視点で切り込みます。

*  *  *
「何かが腐っているのだ、このデンマークでは」。シェークスピア劇、ご存じ「ハムレット」の中で、将校の一人、マーセラスが発する言葉だ。一国の政治や行政を巡って怪しげな展開が浮上した時、イギリス人なら、必ず、このセリフを思い出す。

 このセリフを今の日本に応用するとすれば、少々の修正が必要だ。すなわち、「すべてが腐っているのだ、このニッポンでは」としなければならない。厚生労働省はいい加減な数字づくりをする。財務省は記録文書を改竄する。文部科学省は公立学校の授業に妙な介入の手を伸ばそうとする。そして、それら一連の腐った行政行為の背後に、我々は腐った政治の影を感じざるを得ない。

 ただ、思えば「すべてが腐っている」という認識は乱暴すぎるかもしれない。国民は腐っていない。この異様な事態に対して、連日、国会周辺でも霞が関でも声を上げている。決して、諦めたりふて腐れたりしてはいない。しっかり力強く怒りを表明している。そこが頼もしい。

 さらには、国会内において存外に野党が頼もしく見える。それなりに共闘がうまくいっている雰囲気がある。昨年秋の総選挙をきっかけに野党は分裂し、多党化した。こんなにバラけていたのでは闘いようがない。そのように言われていた。だが、実態はどうか。

 各野党間の駆け引きは色々あるのだろう。だが、見える形で現れている姿は、結構、悪くない。なかなかいい呼吸で、チームプレーを発揮している感がある。世の中、実はこういうものだ。一つの集団の中にいると、とかく、先頭争いとか点数稼ぎの行動が前面に出がちだ。内輪同士ほど、思惑は錯綜しやすい。

 ところが所属が別々になると、突然、お互いを支えたり補完したりすることができるようになる。逆に、別々だった時には仲良くできていた者同士が、同じ集団の一員になると、急にいがみ合い始めたりする。夫婦だった二人が、離婚後のほうが円満に付き合えるようになる。

 多党化した野党には、大いに巧みに共闘してほしい。そうなれば、今こそ、彼らは本当の「国難突破」で国民のお役に立つことができる。

AERA 2018年4月2日号


トップにもどる AERA記事一覧

浜矩子

浜矩子(はま・のりこ)/1952年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。前職は三菱総合研究所主席研究員。1990年から98年まで同社初代英国駐在員事務所長としてロンドン勤務。現在は同志社大学大学院教授で、経済動向に関するコメンテイターとして内外メディアに執筆や出演

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい