私はアメリカにも家を持っていますが、半年ほどは日本におりまして、その間、人に貸したりしています。地域のコミュニティーから(自治体ではない。近隣の住民)、お前がいない間の管理はどうするのか、誰に貸すのか、などと厳しく問いただされます。「文句があれば出て行け」で、「ちゃんとやらないとごみ収集車を寄越さない」とか、「水道工事ができない」とか、いわゆる「村八分」にされます。地域に住んでいる住人一人ひとりが責任をもってその地域をよくしたいという努力の結果、不動産の価値は上がり、個人も自治体もメリットを得るという循環が存在しているのです。

 例えば、私はその地域の高校の市民見学会に必ず呼ばれます。外国人の私から見て、この高校の教育は国際性が十分に高いか、などの項目を評価させるわけです。その高校の価値が上がれば、裕福で優秀な家族が移り住んでくるので、「不動産価格が上がる」=「エリアの価値が上がる」という仕組みを住民がシステムとして理解している。日本のように地方再生は「お上」が補助金を出すもんだなんて意識は微塵もないのです。

 他人(政府)をあてにする地方再生はそろそろ終わりにしましょう。地方再生とは、まずはあなた自身、さらには、あなたの子どもたちが帰ってきたいと思える地域に自らすることが先決ではないでしょうか。

AERA 2018年2月19日号