加えて「1500人分のベビーシッターの確保ができるのか」との声も上がる。23区内では既にベビーシッター派遣を行っている自治体がある。内閣府の子ども・子育て支援新制度の地域型保育の認可型事業で、15年4月、千代田区が開始し、続けて豊島区が16年12月にスタート。両区とも17年4月、待機児童ゼロを達成している。

 千代田区の利用対象は、認可保育所への入所申し込みを「入所できれば希望所以外でも良い」とし、区内全所を希望しても入所できなかった待機児童。当初10人の定員で始めたが、希望が上回り25人に増やした。

「定員枠をもっと広げたいが、ベビーシッター事業者に他の自治体からも引き合いがあり、これ以上のスタッフ確保は難しいとのことで、増やせずにいる」(千代田区子ども部子ども支援課)

 都はこうした認可型ベビーシッター事業にも助成する。さらに全国保育サービス協会と連携してベビーシッターの研修を実施し、養成にも努める計画だ。

「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さんは都のベビーシッター助成についてこう語る。

「待機児童に対する緊急対策としては評価できる。しかし信頼できるベビーシッターを固定で確保できればいいが、長時間かつ長期間の保育となったときに現実的には難しいだろう。入れ替わり立ち替わり複数のベビーシッターが子どもをみるのは、低年齢児にとって大事な愛着関係を考えたときにけっして良くない。あくまでも認可保育所整備までの手段と考えるべきです」

「19年度末までに待機児童解消」を公約に掲げる小池知事。打てる手を尽くし、いよいよ正念場を迎える。(編集部・石田かおる)

AERA 2018年2月12日号