飛騨は観光地ではあるものの、電子決済やクレジット決済のインフラが整っていないのが地域の課題でもあった。決済端末を導入するのに初期費用がかかるうえ、ランニングコストも高いことが障害になっていたという。この点、電子地域通貨「さるぼぼコイン」はプリントした2次元コードさえ貼っておけばいい。決済手数料もクレジットカードより断然安い。

「店側の手間とコスト負担を極限まで下げることができました」と古里さんは言う。

 飛騨信用組合では、「さるぼぼ倶楽部」という300店舗からなる会員組織を持ち、加盟店で使える割引券を発行していた。

「ベースになるような組織はすでにありました。この地域通貨の側面を持たせながら電子通貨として流通させ、決済手数料を収受できれば、新しい収益モデルにもなり、地域活性化にもなるのではないかと考えたのです」(古里さん)

 地域人口が減少するともちろん預金のシェアも落ちていく。

「地域において自分は支援側だという立場ではなく、プレーヤーとして挑戦していく使命を負っていると思っています」(同)

(編集部・柳堀栄子)

AERA 2018年1月1-8日合併号より抜粋