まるで本当の分身!「分身ロボット」は心も変える? (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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まるで本当の分身!「分身ロボット」は心も変える?

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長倉克枝AERA
THKでは人が装置を握って手や腕を動かすことで操縦をする人型ロボットを開発してきた。右は開発者の同社シニアクリエイティブプロデューサーの永塚正樹さん(撮影/岡田晃奈)

THKでは人が装置を握って手や腕を動かすことで操縦をする人型ロボットを開発してきた。右は開発者の同社シニアクリエイティブプロデューサーの永塚正樹さん(撮影/岡田晃奈)

分身ロボット操縦システム 新日鉄住金ソリューションズ、NTTドコモ/簡単なセンサーを付けて動くだけで、あたかも自身の分身のように人型ロボットが動くシステムを開発(撮影/編集部・長倉克枝)

分身ロボット操縦システム 新日鉄住金ソリューションズ、NTTドコモ/簡単なセンサーを付けて動くだけで、あたかも自身の分身のように人型ロボットが動くシステムを開発(撮影/編集部・長倉克枝)

 そこで、分身ロボットならば、人とロボットが協力し合って作業ができるのではと考えた。こうした操作方法は、初心者にもロボットを扱いやすい。

「自分が動くだけでロボットを操作できれば、ロボットに詳しくない人でも使いやすい。コントローラーを使ってロボットを操作する方法だと、訓練をした詳しい人しか操作ができません」

 と小川さん。たしかに、記者は初めて体験させてもらったが、センサーの装着はわずか数分。自分に合った動きができるように数分間静止して調整した後、頭や手足を動かすだけで、即座にロボットを動かすことができた。ロボットを操作しているというより、ただ動くだけでいい。

 今は研究中。実際に現場で使う予定はまだないと言うが、分身ロボットに小川さんは大きな可能性を感じているという。

「テクノロジーで人間の身体の能力を高める、『人間拡張』と言えます」(小川さん)

 人間拡張とは、機械やバーチャルリアリティー(VR)などの技術を使って、人間の能力を高めるという考え方だ。小川さんは、こうした考え方に影響を受け、今回のシステムを開発したという。実は人間拡張によって、人間の能力だけでなく、人間の心自体を変えていく可能性もあるのだという。

 人間拡張を研究する東京大学先端科学技術研究センター教授の稲見昌彦さんは説明する。

「お化粧をすると気持ちが変わったり、服装によって行動が変わったりすることってありますよね。身体の見え方が変わることで、心が変わることは日常生活で起きています。身体と心は切り離せません。心を設計するのは難しいのですが、身体の見え方や身体そのものを変えることで、心を変えるように働きかけられます」

 実際に「身体」が変わったらどうなるのか。稲見さんらは慶應義塾大学の研究チームと共同で、「4本腕になるロボットアーム」を開発して調べてみた。

背負ったバックパックから2本のロボットアームが伸び、まるで「阿修羅像」のように腕が4本あるようになる。この第3と第4の腕は、足の動きで自在にコントロールできる。こうした本来ないはずの第3と第4の腕ができると、心はどのように変化するのだろうか。稲見さんは続ける。

「自由に操作できる腕が増えると、それまでできなかったことが自在にできるようになります。それによって、神様のような『自在感』を感じるようになります」

(編集部・長倉克枝)

AERA 2018年1月1-8日合併号より抜粋


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