正社員として働きつつ、副業先でも正社員や契約社員、アルバイトなどの雇用契約を結んでいる場合は、労災保険に二重加入することになる。

 本業の会社から副業の会社への移動中に起きた事故(通勤災害)も労災保険の給付の対象になるが、この場合、適用されるのは、本業ではなく副業の会社の労災保険。負傷の程度によっては、本業と副業、両方の収入を失うことになるが、補償されるのは1社分だけだ。

「労災給付額は給与額に比例します。副業での労災では多くの場合、少額の補償になるでしょう」(大山さん)

 逆に副業から本業への移動中の場合は本業の会社の労災保険だ。

 副業をしている人が過労死してしまった場合はどうなるのか。
「過去にそうした判例はありませんが、本業、副業のどちらの労災が適用されるか、難しい判断になるでしょうね。会社はどこまで社員の健康管理の責任を負うのか。働き方が変わっていく中で、新たな法整備が求められています」(同) (ライター・越膳綾子)

AERA 2017年12月18日号