国家レベルで緊急にすべきは友好国と連携して高高度電磁パルス(HEMP)攻撃の未然防止策を講じることと、攻撃の被害を少なくする防護準備だ。HEMP防護の規格や勧告はIEC(国際電気標準会議)等で以前から標準化が進んでおり、これに基づいて技術的な準備をする必要があるという。

「まずは遮蔽性の高い実験室を作ること。あらゆる分野の研究者と技術者を集めて、電磁波が入り込まない施設を完璧に作り込むことが重要です。通常の爆弾の対策も兼ねて、地上よりは地下のほうが適していますが、例えば地下鉄の線路や送電線にもEMPは乗ってくるので、そうした外部電源をどこで遮断するかも考えなければいけません」

 実際に攻撃を受けてしまった際はどうすればいいのか。

「日本がやられたら世界の経済もしばらくはガタガタになります。そこから復旧を図るのに、電子部品の供給をタイなど東南アジアの先進国と融通し合える関係性を構築するのが大事です。実際こうした支援連携は東日本大震災やインド洋大津波など自然災害のときにはできている」

 鬼塚氏が最も懸念しているのは、日本が物心ともに有事の備えが希薄なことだという。

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