鬼塚氏によれば、高高度電磁パルス(HEMP)は瞬時に半径数百~数千キロ以内に存在する電気系統を破壊する。現在の電子機器はEMP攻撃を考慮せずに微弱電流・電圧で作動する超集積回路を多用していることから、極めて脆弱だ。しかも、大量破壊に備えていない現行の態勢では、復旧が数年に及ぶことも考えられ、疾病の蔓延や飢餓が発生して結果的に多数の死者を出す危険性があるという。

 鬼塚氏は続ける。

「モノも人も標的にして壊すという戦争の概念から頭を切り替える必要がある。同時に、核兵器を保有して打ち上げる手段を持つ国以外に、ならずもの国家やテロリストグループでも実行する可能性がある。他国から不正に入手した核爆発装置を気球などで打ち上げて攻撃することも可能なのです」

(編集部・大平誠)

AERA 2017年12月11日号より抜粋