竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信「『ローソンと言えばおにぎり』です」(※写真はイメージ)
竹増貞信「『ローソンと言えばおにぎり』です」(※写真はイメージ)

「コンビニ百里の道をゆく」は、40代のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 お気づきの方もいるかもしれませんが、10月末から「おにぎり屋」が変わりました。15年ぶりの大リニューアルです。構想から1年以上かけて、自信を持ってお届けできる「最高のおにぎり」がそろいました。

 ローソンが「おにぎり屋」を立ち上げたのは、2002年11月。それまで100円が相場だったコンビニのおにぎりですが、新潟産コシヒカリなどを使った高級路線を打ち出し、「ブランド」を確立しました。それ以降、他社も研究を重ね、コンビニのおにぎりの質はどんどん向上。正直、最近は「ローソンと言えばおにぎり」というイメージが薄れつつあったかもしれません。

 そこで今回、再び頭ひとつ抜け出そう!とゼロベースですべてを見直すことにしました。製造ラインへの投資が必要になる、調理に手間がかかりすぎる、仕入れ先との関係が……などの「しがらみ」はすべて取り払い、最高の素材、製法、物流に徹底的にこだわりました。

 ごはんは塩水で炊く製法から、真水炊きに変え、炊いた後に塩を振る「ふり塩製法」を導入。ごはん本来の甘さが引き立ち、まるで人が握ったような絶妙な塩加減になりました。こだわりの「瀬戸備前のにがり塩」がまろやかです。

 焼き海苔は、火入れ条件や流通過程での湿気対策を強化したほか、おにぎりの製造工場でも海苔の管理基準を厳しくした結果、一層の香りとパリパリした歯応えが感じられるようになりました。

 具材も工夫を凝らしています。例えば「焼さけハラミ」では、さけを塩麹に漬け込んでから焼くことで臭みを消し、うまみだけを引き出しました。

 ここまでやるにはコストも手間もかかりましたが、ローソンにとっておにぎりは「ど真ん中」の主力商品。トップランナーとしての自負もあり、一丸となってやり遂げました。社長として保証します。生まれ変わった「おにぎり屋」は本当においしい。一人でも多くの人に味わっていただきたいと願っています。

AERA 2017年12月4日号

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竹増貞信

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竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

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