ゴア氏が休むことなく世界各地を飛び回るのは、「変化を起こさなければならないとわかった今、私たちは変化を起こすことができる。そしてその変化は、早く起こされるべきである」と理解しているからだという。

 彼にとって一連の活動は、「全エネルギーを注げる使命」であり、「特権」とも話す。

「気候変動は人類にかかわる問題。地球は私たちが共有しているふるさとであって、守る義務がみんなにある。幸運にも私は大学時代に環境科学者であるすばらしい教授に出会い、環境問題に目が開かれた。彼が予想したことすべてが今、現実に起きている。自分の人生すべてを懸ける価値はあります」

 すべてを懸けたといえば、15年のパリ協定合意までの裏話が見ものだ。化石燃料方式による途上国の発展を維持する権利を主張するインドをいかに説得するか。ゴア氏はパリの会議を前にインドに飛び、太陽光発電の安さを強調して二酸化炭素排出量削減に参加するように説得する。だが、大臣は「それは150年後にやるよ」とにべもない……。

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