メタリム MetaLimbs/東京大学教授の稲見昌彦さんらは、人の体をロボット、VRで「変身」「合体」させ、人の心のあり方や行動を変える研究に取り組んでいる(撮影/編集部・長倉克枝)
メタリム MetaLimbs/東京大学教授の稲見昌彦さんらは、人の体をロボット、VRで「変身」「合体」させ、人の心のあり方や行動を変える研究に取り組んでいる(撮影/編集部・長倉克枝)
写真:東京大学稲見・檜山研究室/慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科提供
写真:東京大学稲見・檜山研究室/慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科提供

 死ぬことは不安だ。その背景には、衰える体への恐れが常につきまとう。失われた身体機能を補うテクノロジーには義手や義足などがあるが、最近ではそれにとどまらない「人間拡張」技術も登場しつつある。テクノロジーによって体を機械に置き換えることで、人の行動や心のあり方も変えようというのだ。

【写真はこちら】4本腕を操ってはんだづけをやってみた

 今年7~8月、米ロサンゼルスで開催された国際学会シーグラフの先端技術部門で、東京大学と慶應義塾大学の研究チームによるこんな発表がベストデモ賞に輝いた。男性が背負ったバックパックから2本のロボットアームが伸びている。合わせて腕は4本ある。まるで、「阿修羅像」のよう。

 この第3の腕と第4の腕は、足の動きで自在にコントロールできる。左右の膝と足首にセンサーをつけており、足を動かすことで、左右それぞれのロボットアームを動かすのだ。

 このロボットアーム「メタリム」を開発した東大の佐々木智也さんは、4本腕を自在に操り、はんだづけをやってみた。2本だと不便な作業も、よりスピーディーにこなした。

 ほかにも、腕や手にまひなどの障害がある人が使うことも想定している。研究チームの東大教授・稲見昌彦さんは、こう話す。

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