「1980年代や90年代の我々は、支持政党がどこであれ、政治理念の違いをむしろ楽しみながら政治議論ができた。今は完全に二分され、議論どころか、けんかになってしまう。だから、政治の話は、相手を選んでしなければいけなくなった。寂しい限りだ」

 ウォルターズさんは、ニューヨークという土地柄もあって「リベラル(民主党)寄り」。だが、好きな大統領は、保守・共和党のレーガン氏だ。むしろ、両党の中間の「スイング・ボーター(浮動票投票者)に近い」と自らの立ち位置を説明する。

 連邦議会議員を決める中間選挙では、権力の均衡を考慮し、大統領とは異なる政党候補者に投票するが、大統領選挙では、候補者の資質や魅力を熟慮しながら、所属政党にかかわらず票を入れてきた。だが、昨年の大統領選でクリントン氏に入れた一票は、「極めて消極的な選択だった」と振り返る。

「私のように政治的スタンスで中間により近い位置にいる有権者は、これまで大勢いた。だから政治議論も有意義だった。それがいま、一気に左右に偏って中間が薄くなっている」

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