「極右と極左の一部の過激な人たちが社会に危険をもたらしているだけ」

 アラバマ州の会社で総務の仕事をするレベッカ・ヒルさん(40)も、

「これまで隠してきた本心をさらけ出した一部の危険思想の人たちが、シャーロッツビルで起きたような事件を起こし、メディアで取り上げられることで、そうした人たちが増えたように見えるだけ。でも、現状は違う」

 ただ、こうした事件が関心を集めることで、「最悪の部分だけが強調され、間違ったイメージで分断が印象づけられている」と、ヒルさんは嘆く。

 ウォルターズさんは言う。

「違いがあるのはいいこと。その違いを認めない風潮が一部顕在化しているのが問題だが、過剰に分断を強調する見方は、かえって分断を深刻化させる。支持できない大統領が出るのは常にあることだ。大事なのは、議会と司法が大統領をしっかりとチェックすること。これは今もできているので、民主主義が揺らいでいるわけではない」

 そして最後にこう強調した。

「基本的価値とは何なのかも含め、米国のあり方を考えるいい期間にもなっているはずだ。民主主義の根幹は選挙にある。来年の中間選挙、3年後の大統領選では、より成熟した米国有権者の選択が見られると信じている」

(編集部・山本大輔)

AERA 2017年11月20日号