「運慶」展は、そのうち7割以上が集まる史上最大の「運慶」展。なかなか見られない仏像の「横顔」や「後ろ姿」を見にやってくる仏像ファンをはじめ、

「声優の小野大輔さんの音声ガイドを聞きたくて」

「声優の檜山修之さんとそっくりな仏像があると聞いて」

 などなど、アニメファンも巻き込んで、開幕以来たくさんの観客を集めている。 

 名高い仏師として、800年にもわたって人の心をつかんでやまない運慶のすごさとは何なのか。その仏像が発する迫力の正体は? そんな疑問を解いていく前に、まずは運慶のプロフィルを予習したい。

 その知名度のわりにわからないことだらけなのだが、まず生まれたのは、平清盛と源義朝が活躍した「保元の乱」のころ、1150年前後とされている。父は興福寺(奈良市)周辺を拠点としていた奈良仏師の一人、康慶。運慶は父の弟子として、仏師の腕を磨いたとされる。今回の「運慶」展は興福寺の中金堂再建を記念して企画されたもの。各寺院からの仏像の貸し出しは、5年以上の時間をかけて実現した。

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