LIGOの仕組みを説明しよう。装置のメインは、L字形に組み合わさったそれぞれ長さ4キロの金属パイプだ。各パイプ中の両端には直径30センチ、重さ40キロの石英ガラスの鏡をつり下げ、強力なレーザー光を反射・往復させる。鏡間の距離の変化はそれぞれの光を重ね合わせて干渉させれば精密にわかる。もし重力波が来て、パイプの存在する空間を伸び縮みさせたら分かるはず。これが、ウェーバーの「棒型検出器」に対する「干渉計型検出器」の理屈である。


 
 72年、ワイスは講義でのアイデアを大学院生と磨き、MITの学内レポートにした。干渉計のアイデアはすでにロシアの研究者や、ウェーバーとその弟子らが考案していたが、ワイスは知らなかった。一方で、彼のレポートは重力波の源の推定、機器の設計、決定的な障害となるノイズの洗い出しなど要素はほぼ完璧にそろっていた。ワイスはその方向で実験の道を走り出し、これらがLIGOの設計の土台となっていったのだ。
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