「責任分散という見方もありますが、やりがいという意味では、成果さえ出せばすべては自分次第のベンチャーのほうが上。ただ、責任も重い」(女性)

 ポスティング事業の「アト」は、今年で設立14年。黎明(れいめい)期から会社を支えてきた現役員の大越猛さん、飯田佳弘さんはいずれも30代。当初、営業職に就いたが、前職は全く別の業種だった。大越さんは理系出身で最初の就職先は大手警備会社の研究開発センター。飯田さんは大手学習塾で働いていた。

「営業なんてやったことがなく、クロージング(相手に結論を迫る営業スキルの一つ)どころか見積もりの出し方すら知りませんでした」(飯田さん)

 しかし、当時は社長、副社長も営業の第一線で働くような状況。わからないことは聞きながら、自分なりのやり方を見つけて突き進むしかない。すべてが個人の裁量に任されていた。会社の過渡期でクライアントの業種も多岐にわたり、

「同じ業務がほぼなく、日々発見。それが面白くて仕方なかった」(同)

 そうこうするうちに、狭い新宿の倉庫兼事務所から、代々木、原宿、西新宿を経て、昨年からはビル一棟を丸ごと借りるまでに成長。「次」の可能性もある。

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