アルバイト代で好きなものを買えるようになり、まずバイクにハマった。そして音楽なんて全く関心がなかったのに、友達からバンドに誘われ、ベース担当にもなった。最初は国内外のメジャーアーティストなどのコピーをしていたのですが、独学で作曲をするようになり、高校卒業後に進んだ専門学校時代には、メジャーデビューを目指すまでになっていました。

 しかし音楽だけでは生活が苦しく、好きな日に働けるポスティングの会社に入った。その後、いったん退職しポスティングから離れたんですが、元上司から「一緒に起業しないか?」と誘われたのです。

 彼は退職してポスティング事業を立ち上げており、私も新たに入社した会社の新規事業としてポスティング事業をスタートさせた頃でした。いま共同経営者である彼、奈須田との出会いは私の人生を変えましたね。声をかけられていなかったら、起業していなかったかもしれません。

 うちの会社のスタッフには、ミュージシャン、芸人、役者の卵などが多い。いつ来てもポスティングという仕事があることで、夢を追う彼らをサポートしたいという気持ちがあります。

「好きなこと」を見つけられた母校がそうだったわけですが、“自分がやりたいことをやれる環境”は非常に大事だと考えています。それは、高校選びにも関係しているのではないでしょうか。(ライター・羽根田真智)

AERA 2017年11月6日号より抜粋