一方、安易に「採用直結」を認めると、メリットを受ける学生が一部の層に集中する、と心配するのは立教大学キャリアセンターの市川珠美課長だ。

「学生によって、インターンに対する姿勢がかなり違います。自分たちは『見られる側』と考えるのか、『企業を見に行く側』ととらえるのか。企業が欲しいのは後者のような能動的な学生です。インターンが採用直結になると、内定をもらえるチャンスが増えるようにも思えますが、実際には、企業の内定がいま以上に能動的な後者の学生に集中してしまうのではないでしょうか」(市川さん)

 前出の谷出さんも市川さんと同じ意見だ。インターンからの採用が広く行われているアメリカでは実際に、選ばれる学生と選ばれない学生の二極化が進んでいるという。

「新卒一括採用」は日本独特のもので批判もあるが、経験やスキルのない新卒の学生の将来性や潜在能力を評価する仕組みでもある。

「多くの学生に社会に出るチャンスを与え、若年失業率を低く抑えるという役割も果たしていた。『インターンと採用の直結』は、そういうメリットが失われ、若年失業率も欧米並みに高くなっていくリスクまで含めて、議論すべきでしょう」(谷出さん)

 当然、就活の早期化、長期化も避けられない。学生は大学に入学したら即就活。企業は早い段階で内定を出せるが、卒業までつなぎとめるのに莫大(ばくだい)なコストがかかるという指摘は多い。

 昨年6月には文部科学省、経済産業省、厚生労働省の3省合同の有識者会議で、5日以上のインターンに限っては、そこで得た情報を採用に活用しても良いとする「採用直結解禁案」が検討されたが、立ち消えとなっている。位置づけがあいまいなまま、インターン狂騒曲を続けていいのか。(編集部・石臥薫子)

AERA 2017年10月16日号より抜粋