精神科医も占いに通って驚いた?(※写真はイメージ)
精神科医も占いに通って驚いた?(※写真はイメージ)

「当たるも八卦、当たらぬも八卦」というけれど、人が占いに求めるものはいわゆる「当たり」だけではない。占いにみられるカウンセリング効果を探った。

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「人生ついていない時期ってあるじゃないですか。波があると経験的に知っていても、抜け出せないかもしれない不安を抱えてじっと待つなんて、耐えられるもんじゃないでしょう」

 そう切り出したのは、精神科医で作家の春日武彦さんだ。

 春日さんは2年前、そんな局面と対峙した。親を亡くした直後だったからかもしれない。期待したほど著作は売れず、原稿依頼も減った。齢60を過ぎて体力も落ちた。頂点がどこかもわからないのに、落ち目かよ。努力しているのに、なぜこんなしょぼい状態に置かれなければならないのか。

「でも、友達に言うのは恥ずかしいし、同業者のところには絶対に行きたくない。お互い手の内を知っているから、向こうも困りますよね」(春日さん)

 そこで選んだのが、占いだった。精神科医が昼間から占いに行くとは何ごとか。自分を相対化し落ち着こうという思いも、半ば自虐的な思いもあった。

 ごく普通の「おばさん」に見える占い師に自身の職業を告白し、「人生うまくいかず納得いかん」と「ぐじぐじと」言い募っていたときだ。

「物心ついてから今まで、一日として不安がない日はなかった」

 そう言っている途中で、涙があふれだした。

「占い師が勝ち誇った顔をして『いいのよ、存分にお泣きなさい、これをカタルシスというのよ』と言うわけです。それはおれのセリフだ! なんでおれはこのおばさんの前で泣いているんだ。ここ30年、親が死んだときも泣かなかったのに、と自分でも驚いた。しかし、意外とすっきりした。つまり、占いには、ある種のカウンセリングの効果があるんです」(同)

●言語化による整理

 自分に何が起こり、どう思っているか。言語化することで物事が整理され、気持ちがすっきりする点が共通している。

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