東畑さんは、ライトな占いが支持される背景には、人々の「選択疲れ」があると見ている。

 仕事も世の中も「どうなるかわからない」という不確実性はあるけれど、自分自身、選択肢はあまりに多い。転職するか、結婚するか、子どもは産むのか、服は何を買うか、髪形はどうするか──。

 ライトな提案は、受けやすい。「今日のラッキー回復アイテムはオムライス」と言われれば、多くの人にとってオムライスを食べるきっかけになり得る。

「占いが好きな女性は、セルフケアの一環として、ヘルスケアグッズやオーガニック製品にもお金をかけている印象です。満月に瞑想する大企業の社員も知っています。マックス・ウェーバーの唱えた『脱魔術化』に対し、近年は『再魔術化』が指摘されています。近代化した社会が味気ないため、軽いスピリチュアリズムに流れているのではないでしょうか」(東畑さん)

(編集部・澤志保)

AERA 2017年10月2日号