子どもに、配偶者に、ゴールが見えない感情があふれかえることはありませんか?(※写真はイメージ)
子どもに、配偶者に、ゴールが見えない感情があふれかえることはありませんか?(※写真はイメージ)

 「どうしてそこまで怒るの?」「そこまで言わなくてもいいのに」――。このところ、イライラする人や罵詈雑言をはく人を目にする機会が多いとは思いませんか? あそこにもここにもいる「感情決壊」する人々。なぜ私たちはかくも怒りに振りまわれるようになったのか。それにはちゃんと理由がありました。アエラ9月11日号では「炎上人(えんじょうびと)の感情決壊」を大特集。聞き分けのない子どもに、理解のない配偶者に、ゴールが見えない感情があふれかえる。まずは、そんな感情を持つ自分を肯定することから始めてみよう。

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 これもいらないね、これも、これも……。机の上に並んだ小学生の長女の参考書をかたっぱしからゴミ袋に放り込み、マンションの玄関からランドセルを放り捨てた。呆然とその様子を見つめる長女の横で、幼稚園の次女が「もうそれくらいにしてちょうだい」と泣き始めた。

「そこで、我に返ったんです」

 会社員の女性(50代)が、数年前の「感情決壊」を振り返る。

 長女は何事もおっとりタイプ。中学受験をやりたいと言い出したが、自分から進んで勉強をするタイプではなかった。塾の資料も机に山積みになり、「スケジュールを立てなさい」と指示すると絶対やれそうにもない表を作ってくる。小学校の宿題について聞けば「やったよ」ではなく「やるよ」。「いつやるの?」「あとで」──そんなやりとりに、ついに感情が決壊した。

●「忍」の一字で耐える

「自分でした約束を守らない、やればできるのにやらないとすごく腹が立つんです。子どもといっても人格が違うんだからしょうがないと思うんですが」

 大人に対しては「怒っても無駄」と思えるのに、我が子に対してはそう思いきれない。

「義務感もありますから、『まあいいか』とやりすごせない。でも相手は子ども。コミュニケーション能力もまだ低く、そもそも時間の感覚がほとんどない。眉間に『忍』の一字を浮かべ、必死で耐えるしかないんですね」

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