撮影/岸田哲平(ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017提供)
撮影/岸田哲平(ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017提供)

 8月28日発売のアエラ9月4日号で表紙を飾った桑田佳祐さん。直前の23日に発売したソロアルバム「がらくた」が、各ウィークリーチャートで軒並み1位を獲得しています。名実ともに、トップを走り続ける桑田さん。アエラのインタビューでは、自らの作品を「がらくた」と名付けた背景や、長く活躍し続ける秘訣を語りました。ダイジェスト版を掲載します。

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──新作の「がらくた」が完成したばかりですが、表現の仕方に変化はあったのでしょうか。

 若い頃は知ったかぶりの英語を使いつつ、はぐらかすように歌詞を書いたりしましたが、いまの僕からみると「もったいないことだったな」と思うんですよ。「歌詞をちゃんと書くというのもアリなんだろうな」が、最近の思いでもありますね。実は今回のアルバムは、歌詞から先に書き始めた曲もあるくらいなんです。

──日本語と向き合うことで生まれる可能性もあるでしょう。時には制約を感じることもありそうですけどね。

 CDを作りました、歌詞を書きました、となると、世に出る前に一応、確認は入りますけど。

──この表現は誤解を生まないか、みたいな確認ですね。

「ポリティカル・コレクトネス」という言葉がありますよね。偏見や差別をなくしていくことは当然ですが、日常会話で使い慣れた言葉にまでそれが及ぶとなると、「どうなのかな?」とは思うんですよね。僕はラジオ番組をやってるんですが、「え、この言葉は使っちゃいけないの!?」みたいなことになると、途端にその場が窮屈になってしまうしね。
──「がらくた」というアルバムタイトルも、言葉の窮屈さと関係があるんでしょうか?

 これはですね、もともと僕がポール・マッカートニーの「Junk」(英語で「がらくた」の意味)って歌が大好きなのもあるんですけど、言葉の意味合いとしては、「深読みしすぎたり、力んだことはやめよう」みたいなことからきているんです。それこそ以前なら、「ROCK AND ROLL HERO」とか、そんなタイトルもつけてたんですけど。

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