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米朝危機のチキンレース 日本の「万全の態勢」は気休めか

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田岡俊次AERA#北朝鮮

山形県内初のミサイル想定訓練が酒田市であった。防火水槽の陰や軒下に身を隠す住民たち (c)朝日新聞社

山形県内初のミサイル想定訓練が酒田市であった。防火水槽の陰や軒下に身を隠す住民たち (c)朝日新聞社

 全国瞬時警報システム「Jアラート」の伝達訓練は8月18日に202市町村で行われ、住民の避難訓練をする自治体もある。総務省は「ミサイル発射後の4分で警報が出る、北朝鮮から日本に来るミサイルは7、8分で落下するから、その間に強固な建物などに隠れろ」と言う。だがこれまで発射の4分後に警報を出せたのは昨年2月7日に北朝鮮が「テポドン2」で人工衛星を打ち上げた際だけだ。発射の時間帯や軌道は予告されていたから、それが可能だったが、無通告で行った度々のミサイル発射実験では、Jアラートは全く役に立たなかった。実戦では相手がミサイル発射を予告してくれることはない。海上保安庁が船舶に出す航行警報は今年7月28日にはミサイル発射の9分後に出て、これが最短記録だ。これ以外は発射の10分以上後、ほとんどはミサイルの落下後に出された。

 もっとも狙われそうな米軍基地に同居している海上自衛隊の部隊は避難訓練をしていない。北朝鮮と距離が近すぎて、避難訓練をしても無意味だからだ。

 自衛隊もやらないような訓練を国民にさせるのは、第2次世界大戦末期の日本政府がB29の爆撃や米軍の上陸作戦に対抗するため、バケツリレーや竹槍の訓練をさせたのに似てきた。(軍事評論家・田岡俊次)

AERA 2017年9月4日号


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