米朝危機のチキンレース 日本の「万全の態勢」は気休めか (2/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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米朝危機のチキンレース 日本の「万全の態勢」は気休めか

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田岡俊次AERA#北朝鮮
山形県内初のミサイル想定訓練が酒田市であった。防火水槽の陰や軒下に身を隠す住民たち (c)朝日新聞社

山形県内初のミサイル想定訓練が酒田市であった。防火水槽の陰や軒下に身を隠す住民たち (c)朝日新聞社

 今日の状況は23年前に比べ、はるかに厳しい。ソウルから約40キロの南北境界線の北側には大規模な地下陣地が築かれ、トラックに載せた22連装、射程60キロのロケット砲約350門や長距離砲が配備され、人口1千万人(首都圏だと2500万人、韓国の人口の半分)のソウルを「火の海」にする構えを示す。

●攻撃目標の位置は不明

 もし米韓軍の攻撃で北朝鮮が崩壊に瀕せば、自暴自棄になった北朝鮮が韓国、日本の軍事拠点や首都に対し、核ミサイルを発射する可能性は高い。報復攻撃力を示して相手に攻撃をさせない「抑止戦略」は相手の理性的判断を前提としており、「死なばもろとも」の心境になった相手には効果がない。

 米軍、韓国軍が一挙に北朝鮮の核・ミサイルを全て破壊するのは至難の業だ。偵察衛星は約90分で地球を南北方向に周回し、各地上空を1日約1回、時速約2万7千キロで通過する。固定目標は撮影できるが、移動式の発射機に載せ、山間部のトンネルに隠れているミサイルの詳しい位置をリアルタイムでつかむのは不可能に近い。

 赤道上空を約3万6千キロの高度で周回する静止衛星は、地球の自転速度と釣り合って常時監視ができるが、その距離ではミサイルは見えず、発射の際に出る赤外線を感知できるだけだ。

 無人偵察機を数機北朝鮮上空で常に旋回させれば、ミサイルがトンネルから出たところを撮影できるとしても、内陸の上空で旋回していれば旧式の対空ミサイルでも簡単に撃墜される。目標の位置が確実に分からなくては攻撃はできないのだ。
 朝鮮戦争が再燃すれば、北朝鮮はもとより、韓国も大打撃を受け、一時的には南北共倒れ状態になりかねない。仮に日本に戦火が及ばなくとも、風向きにより放射性降下物が飛来しそうだ。韓国では戦乱で経済が大混乱し、残留放射能を恐れる大量の難民が日本にも押しかければ、日本はその帰国をはかるため、統一韓国の復興に資金提供など莫大(ばくだい)な寄与を迫られることも起こりそうだ。韓国には米国民間人約20万人が住み、400人乗りの大型旅客機で500便にもなるから、事前の避難も容易ではない。


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