六つの温度帯に分かれる「アマゾン川崎フルフィルメントセンター」のアマゾンフレッシュエリア。無数の棚が並ぶ(撮影/写真部・大野洋介)
六つの温度帯に分かれる「アマゾン川崎フルフィルメントセンター」のアマゾンフレッシュエリア。無数の棚が並ぶ(撮影/写真部・大野洋介)
すべてのプロセスで商品の温度が上下しないコールドチェーンを徹底。水気などが出ないよう、パッキングにもこだわる(撮影/写真部・大野洋介)
すべてのプロセスで商品の温度が上下しないコールドチェーンを徹底。水気などが出ないよう、パッキングにもこだわる(撮影/写真部・大野洋介)

 2000年に本のECサイトとして日本に上陸したアマゾン。いまやあらゆるものを扱い、他の追随を許さない巨大ECサイトに成長した。一方で、アエラが行ったアンケートでは、回答した137人のうち「アマゾンを使っている」と答えた人が96%。同時に、「できれば使いたくない」と答えた人が44%もいた。拡大の原動力は。便利なのに不安にさせるものの正体は。AERA 2017年7月24日号では「アマゾン」を大特集。

【フォトギャラリー】アマゾンフレッシュで注文から配達までに密着

 アマゾンで買えなかった数少ないもの。それが生鮮食料品だった。今回、注文から配達までに密着。意外と「人っぽい」全工程を取材した。

*  *  *

 こちらは、川崎市にある「アマゾン川崎フルフィルメントセンター(FC)」。この4月にアマゾンジャパンが始めたプライム会員向けネットスーパー「アマゾンフレッシュ」の配送センターだ。

 野菜、肉、魚などの食品、日用品など17万点をそろえ、エリア内なら注文から最短4時間で商品が届く。東京・千葉・神奈川の広いエリアをカバーし、トマト1個から刺し身、肉、菓子や飲料、ペットフードまで、ほとんど大型スーパーの品ぞろえ。「専門店グルメ」として、デパ地下にあるような専門店の高級食品なんかも購入できる。

 この日朝10時半、スマホから、自分のアマゾンプライムIDでアマゾンフレッシュの商品を注文。東京都中央区築地にあるアエラ編集部に、「一度も凍結していない生本まぐろ(養殖)大トロ サク 180g」2480円やビールなど、お中元代わりのプチ暑気払い用食品を送ってみた。

●ロボットじゃなくて人

 何をどうやったら新鮮なお刺し身が、最短4時間で編集部の冷蔵庫にインしてしまうのか。注文してから川崎の倉庫で商品がピックアップされ、築地の編集部に届くまでの一部始終を、ベールに包まれていたその配送センターで見せてもらった。

 配送時間は、16~18時に設定。ちなみに配送は朝8時から深夜0時までの2時間ごとで、自分が設定した16~18時に配送してもらうには、昼の12時が注文の締め切りだ。
 延べ床面積4万平方メートルの巨大物流拠点「川崎FC」のうち、アマゾンフレッシュのエリアは、7千平方メートル。常温、チルド、冷凍など6温度帯にエリア分けされ、商品を置いた無数の棚が並んでいた。

 注文を実行すると、まもなく商品の保管場所の情報がスタッフの端末に飛び、手にとったスタッフがその目で商品をチェックしてから、注文ごとにカートに載せたバッグに詰めていく。パンなどのやわらかいものがつぶされないようにするため、重いものから順にピックアップできるよう、各商品の保管場所とルートが計画されている。

 ロボットアームが商品をピックアップし、ルンバのお化けみたいな自走ロボが運搬、人はセグウェイみたいな乗り物に乗って場内を点検するだけ……そんな味気ない倉庫をイメージしていたが、あれれ。なんと、人もけっこう働いているんですけど。

次のページ