V字回復企業四つのパターン(AERA 2017年7月3日号より)
V字回復企業四つのパターン(AERA 2017年7月3日号より)
「V字回復請負人」の時代がくる(AERA 2017年7月3日号より)
「V字回復請負人」の時代がくる(AERA 2017年7月3日号より)

 地に落ちたイメージを回復させて、業績も上向かせる……。これまで、多くの企業が直面し、その実現に腐心してきた。これは、個人の場合でも同じこと。落ち込んだ底が深ければ深いほど、復活には時間がかかる。AERA 2017年7月3日号では、「どん底からの脱出」と銘打ち、見事V字回復した企業を大特集。そのとき企業は、個人は、何を考え、どう振る舞うべきなのか。当事者たちの話を聞いた。

【図版】V字回復を担った経営トップのプロフィルと成功事例

 一寸先は闇。モノが売れず、SNS全盛時代とあって、一つ間違えば業績も真っ逆さま、いや倒産だってあり得る。暗い谷底から這い上がった企業は何をしたのか。歴史をひもとくとパターンがある。経営者必見。専門家がV字回復のイロハを指南する。

*  *  *

 図は、東京商工リサーチの常務取締役・友田信男さんと、カブドットコム証券の投資ストラテジスト・河合達憲さんが編集部の求めに応じ、主に平成以降に日本企業が成し遂げたV字回復のパターンを分類したものだ。

 大きく分けて4分類。他社の傘下に入ったり提携したりする「M&A・資本提携型」、海外市場で収益を上げる「海外展開・海外戦略型」、ヒット商品が牽引する「新商品・新サービス型」、新たな経営トップが改革を担う「経営者変更型」だ。

 友田さんによれば、日本企業におけるV字回復パターンの原点は、「M&A・資本提携型」。

「数十年前まで、経営が傾いた会社に別会社が乗り込み、傘下に収めるケースが多かった。送り込まれた経営者がコストカッターとして手腕を振るうのです」

 だが、昨今はそのパターンが複合化しているという。河合さんが具体例を挙げてくれた。

●新業態が危機を救う

「SNS『mixi』が苦境に陥ったミクシィは、スマートフォン向けのアプリ『モンスターストライク』で盛り返した。これは、新サービスが牽引したケースですが、結果、収益モデルが『スポンサー型』から『課金型』に変化していて、業態転換と見ることもできます」

 パソコン事業から撤退し、スマートフォン向けのハードやゲーム機に注力したソニーでは、このところ業績向上に貢献しているのはドローン用のカメラだ。

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