つまり、学べば学ぶほど、子どもたちの眼の解像度が上がり、視野が広がり、物事の裏側や未来までをも見通す眼力が養われる。「虫の眼、鳥の眼、魚の眼」が良くなれば、身の回りの物事をより正確にとらえることができるようになる。

 その結果、「創造的・批判的に考える力」「コラボレーションする力」「情報・ICTリテラシー」「グローバル市民視点」が身につくのであって、これらの能力をパッケージ化していきなりインストールすることはできない。名門校と呼ばれる学校の教員たちはたいてい、そう口をそろえる。

 グローバル教育、キャリア教育、コンピューターリテラシー、IT活用などが時代の変化に対応するために避けては通れない項目であることに間違いはない。しかし、それらの流行キーワードがそのままパンフレットに乱舞している学校はまゆつばだ。流行に振り回され、本質を見失っている可能性がある。

●パンフのカタカナ率

 たとえて言うならこういうことだ。流行のファッションをそのまま身につけるだけではだめ。それはただ、流行に流されているだけ。流行を自分らしく着こなす大人のたしなみを心得ている学校は、必ず、建学の精神や教育理念の中に、流行を位置づけることができる。

 自分らしさを前提に、流行をいかに自分らしく着こなすことができるか。本質を変えずに、最低限の流行を取り入れることができるか。それが時代の荒波の中での学校の浮沈を決める。

 変化の激しい時代だからこそ、そんな視点で学校を選ぶことをおすすめしたい。

 具体的に、どう見分けるか。パンフレットのカタカナ系ビジネス用語率の低さと学校の実力に相関関係があるのではないかと、私はひそかに思っている。

(育児・教育ジャーナリスト・おおたとしまさ)

AERA 2017年6月5日号